大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(う)2906号 判決

被告人 スチュワート・エヌ・ウエントワース

〔抄 録〕

所論は極力本件共謀による大麻所持の事実を争うので、所論に鑑み更に審究してみるに、前記各証拠を総合すれば以下の事実が認められる。即ち、米海軍横須賀基地海軍調査局特別調査官ベンヂャミン・オーレッドから府中基地周辺で大麻の密売がなされている旨の通報を受けた警察当局は、米国海兵隊隊員ジヨニイ・ダブリュー・ライズダムを協力者として、警察官梅田重夫を買手に仕立て、右密売関係者を検挙する計画をたてたこと、ライズダムは昭和四九年四月一八日ころ、チャールス・デー・ジレットに対し大量の大麻の買手があるとの話を持ち出し、ジレットはそのころ被告人にその旨を連絡し、被告人はトーマス・ジエイ・マニングにこれを連絡したこと、その後同月二六日府中基地付近の自動車内においてジレットと梅田重夫間に通称ブダステイックなる大麻六〇ブリックス(一ブリックは二〇本)を、一ブリックにつき代金二〇五ドルで取引することの約定が成立し、その受渡しの日時、場所を翌二七日午後九時ころ横浜市内のシーサイドクラブ前とすることを定めたこと、ジレットは被告人から大麻を一ブリックにつき二〇〇ドルで入手する約束になっており、被告人はマニングから大麻一本につき二〇〇〇円の割合で入手することになっていたこと、翌二七日被告人はジレットを同乗させて自動車を運転してきてマニングに会ったところ、マニングは大麻を所持しておらず、同人はジェイムス・ジエイ・フエントンに、フエントンは通称マイケルに、それぞれ順次、大麻取引は横浜市内で行われ、急いで大麻を入手したい旨の依頼をしたこと、マイケルは本件大麻一二〇〇本分をフエントンに手渡したので、同人はこれを買物袋にいれ、通称デイビットにその情を明かして協力を求めて右買物袋を携帯させ、事情を知らないグレーン・エイチ・リーマンにデイビットをオートバイに乗せて横浜まで行くよう依頼して承諾を得たこと、かくて被告人が運転する自動車には被告人、ジレット、マニング、フエントンが乗車し、リーマンが運転するオートバイにはデイビットが買物袋にいれた本件大麻を携帯して同乗したこと、右被告人ら四名は右デビットが本件大麻を携帯していることを十分認識し、同大麻の取引をなすべく前記場所へ赴くため東京都渋谷区上原を自動車で出発し、デビットを乗せたリーマンのオートバイに先行してこれを誘導し、同日午後一〇時三〇分ころ、約束の本件大麻受渡しの場所であるシーサイドクラブ前の原判示路上に到り、梅田重夫と本件大麻取引の交渉に入ったことが認められる。以上の認定事実に鑑みれば、被告人は前記フエントン外四名の者、即ち前記ジレット、マニング、デビット、マイケルと意思を通じて共謀し、原判示の日時、場所において本件大麻を携帯して所持していたものというべきである。所論のとおり、被告人が本件大麻の所有者ではなく、また被告人の所為が周旋にあたり、本件大麻を現実に手にしていなかったとしても、被告人は本件大麻所持の共同正犯者としての責任は免れ得ないものといわなければならない。

(矢崎 大沢 本郷)

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